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第3回 コミュニティビジネスちばエリアネット研究会

 11月26日(金)、松戸市女性センターゆうまつどにて、CB研究会の第3回を開催しました。
 今回は、「NPO法人まえはら子育てネットワーク」理事長の小手川京子さんと金子たか子さんから、「まえはら子育てネットワーク自前園舎建設の過程」という演題で、団体の活動内容と沿革、そして2007年の新園舎建設の際に活用した「擬似私募債」について話題提供がありました。
CB研究会の本年度活動計画(PDF)


1. まえはら子育てネットワーク自前園舎建設の過程
 まえはら子育てネットワークは、公団(現UR)前原団地のある船橋市前原地区にあります。団体のミッションは「地域の中で“みんなで育つ”」。これを実現するために、現在、「まえはら幼児教室」(3~5歳児の保育)をはじめとする6つの事業を展開しています。
 まえはら子育てネットワークの前身である「前原団地保育の会」は、団地の子どもたちの、住民による自主的な保育を目的として1960年に発足しました。1964年には「まえはら幼児教室」を開設して現在まで続いています。2002年には、「NPO法人まえはら子育てネットワーク」として法人格を取得しました。
 2004年、活動の拠点である「前原児童ホーム」が団地の建て替えとともに建て替える計画になったのですが、建て替え後は園庭を確保できないことが明らかになりました。そこで新たな園舎を建設する土地を探したのですが、資金的な問題により借りられる土地はなかなか見つかりませんでした。最終的には、船橋市の推薦状により、URの余剰地を定期借地契約で借りられることとなりました。
 ところが、園舎を建設するための資金について、担保価値のある資産がないので銀行からは十分な融資が受けられません。そうしたなか、千葉県のコミュニティビジネス支援事業で知り合った経営コンサルタントから、疑似私募債のことを教えて貰いました。最初は「ギジシボサイ」と言っても何だかよく分からない状態でしたが、最終的にはこの手法が使えると判断し、2007年6月、一口30万円の5年債と一口50万円の7年債を用意して、「まえはらすくすく夢債」の受付を開始しました。わずか1カ月弱の間に、会員(保護者)やスタッフを中心とした69名の方から4,040万円が集まりました。目標金額に到達したので、2008年3月、園舎は無事に建設されました。
 まえはらすくすく夢債の返済については、2007年から毎年530万円程度を積み立てており、今のところ順調に返還のめどが立っている状態です。

2. 意見交換
 擬似私募債と借金それぞれのメリット、デメリットについて質問に対し、小手川さんと金子さんは、「無担保で金融機関からお金を借りることはできたけれども、借り入れ可能な金額は少なく、しかも当時は金利も高かったので、借りるのには抵抗があった。擬似私募債の方は、自分の子どもを通わせる人(会員)が出資者になることでスタッフと会員の結束が強まり、それが互いのメリットになる」と回答。
 「出資者の多くは会員かと思われるが、返済への不安などから、会員の間でもめることはなかったのか?」の質問に対しては、「『返せるか』というよりも、一口の金額の方が議論の対象になった。例えば、50万円は払えないけど10万円なら払えるという意見もあった」という答えが返ってきました。つまり、返済の可能性よりも出資できる金額の方が議論になったということでした。併せて、「理事の間で返済のリスクについて議論はあったのか?」については、「『幼児教室を守るためには、今動くしかない』という事態が、理事を突き動かした。もちろんリスクはあったが、『何かあったら理事長だけが背負うのではなく、理事のみんなで背負うよ』という言葉に励まされた。」との回答。
 返済のめどを立てるためにスタッフの人件費が最低賃金レベルに抑えられていることに対して、「先生方のモチベーションは保たれているのか?」という質問が出ました。これに対しては、「スタッフの多くは幼児教室の卒室生や子どもを卒室させた親御さんであり、皆、『幼児教室が好き』という思いをもって仕事をしているので、賃金が安いなどという不満は出たことがない」ということでした。

 今回の研究会に参加した人が皆感じたのは、多くの会員やスタッフが多額の費用を負担して出資者になってくれるだけの、まえはら子育てネットワークの歴史と実績、そして信頼の厚さでした。小手川さんが「開園時と同じことを、こつこつと真面目に続けてきたことが信頼につながっていると思う」と話をされていたのは印象的でした。また、このことに関連して、「株式(会社)だと所定の審査基準に整合するかどうかが問題となり、借金ならば返済のめどの有無が問題となるけれども、私募債の場合は、『みんなの思い』が共有されるかどうかで貸し借りの実現の可否が決まる」という意見も出されました。