松戸あんしん電話地域見守り協議会(市民の手によるセーフティネット作り)
松戸では、高齢社会を生き抜くために、地域住民が主体となった力強い動きが始まっています。2015年春、市内の町会・自治会やNPO法人が中心となって、「松戸あんしん電話地域見守り協議会」が設立され、高齢者の地域社会における孤立した状況を緩和し、互いに見守りあっていく関係づくりの活動が広がり始めています。
CoCoTは、この協議会の立ち上げと運営を事務局として、担っています。
協議会設立のきっかけは、高齢化に悩むUR団地を拠点に設立されたNPO法人アイギスと認可地縁団体幸谷町会の見守り活動です。
UR都市再生機構の梨香台団地に住む住民たちは、2011年東日本大震災の発生時に起こった困難の経験を活かし、自分たちで支え合う地域サロンを開き、見守り活動を始めようと考えました。
ちょうど、そのころ、同じ松戸市内の認可地縁団体幸谷町会が、自動電話「あんしん電話」をツールとして活用した定期的な地域見守り活動を始めたのです。幸谷町会の見守り活動は、医療機関と連携し地域住民による見守りボランティアを組織して、個人情報管理や情報共有の態勢を整えた非常に実践的なシステムでした。その仕組みを知ったNPO法人アイギスは、近くの診療所の協力を得て、梨香台団地にもあんしん電話の仕組みを導入しようとしました。その二つの地域が出会いとなって、住民の手による地域見守り活動が広がりました。
この取り組みは、緊急時の迅速な対応ではなく、人と人の緩やかで適度な距離の関係を作る仕組みです。町会・自治会などの地縁組織が主体となって、地域の医療機関や介護機関と連携するコミュニティ主体の見守り活動です。市民の手によるセーフティネット作りを進めています。
調査研究:豊かな高齢社会システムづくり実践的研究事業
~高齢社会における安心なまちづくり調査研究~(梨香台団地を事例として)
公益財団法人ニッセイ聖隷健康福財団委託事業
調査報告書 ↓
http://www.nissay-seirei.org/profile/docs/report-anshin201410.pdf
千葉)お年寄り見守りシステム、松戸市が助成へ
青柳正悟
2015年3月25日03時00分松戸市内で始まった民間の高齢者見守りシステム「あんしん電話」を、同市が助成することになった。24日の市議会で予算案を可決した。現在は市内の半数以上の自治会・町会と、医療機関、NPO法人が協力して運用。行政の後押しで、孤独死の防止などさらに効果が期待される。県によると、民間の組織的な安否確認システムや、それへの行政支援は珍しいという。
システムは同市常盤平の「どうたれ内科診療所」を運営する堂垂伸治・千葉大医学部教授(67)が2007年、高齢患者70人を対象に地域とつながりを保ちながら健康維持を図ろうと、業者とともに開発した。
診療所に置いた「あんしん電話システム」(専用パソコン)に、高齢者の電話番号を登録。録音した医師や介護士ら親しい人の声で、定期的に安否や健康状態を尋ねる電話が自動的にかかる。これを受けた高齢者は①問題なし②体調不良③要連絡、のいずれかのボタンを押して回答する。②や③の場合、看護師や事務員が普通の電話で折り返し連絡し、状況を自治会・町会、ボランティアに連絡。自治会などが対応するというものだ。
13年9月から、市内11地区のうち6地区の自治会・町会でつくる「地域見守り連絡協議会」(会長・斎藤正史野菊野団地自治会長)が普及させた。今の加入数は約400件で大半が一人暮らしの高齢者だという。
あんしん電話の専用パソコンは約50万円で、市内7カ所の医療機関に設置され、5カ所で稼働している。ほか電話代や約200人いるボランティアの交通費や保険代などがかかるが、参加する高齢者の電話代は基本料金内で済む。
連絡協議会に参加した6地区は、常盤平団地など大規模団地も多く、高齢者の孤独死など問題を抱える。
協議会事務局を担当するNPO法人「コミュニティ・コーディネーターズ・タンク」の小山淳子・副代表理事によると、一人暮らしの65歳以上の市民は約2万人にのぼる。「元気なうちから、あんしん電話に参加して地域とつながりを持つようにしてほしい。そうすれば体調が悪い時に手を挙げやすい」と訴える。
特に課題は男性の参加だ。12年に市内で孤独死した149人のうち、男性は約8割、116人を占めた。65~69歳では男性16人に対し、女性はゼロだった。あんしん電話の加入率も男性は少ない。「男性は仕事をやめると近所付き合いもなく、孤立することが多い」と分析する。
市は約128万円を助成。市医師会を通じ、新たに参加する五つの医療機関のパソコン購入、電話料金、ボランティアの費用などを支援することになる。
堂垂教授は「あんしん電話は対話型で、維持管理が安くできるのが特徴。地域の力を発揮するツールとして役立っている」。萩島賢治・市高齢者支援課長は「高齢者を見守る目は複数あったほうがいい。あんしん電話は自治会や医師会が協力する地域の目として頑張ってほしい」と話した。(青柳正悟)